こちらのページでは、パリにある、アラブ語圏もしくはイスラム文化圏の人々が運営するお店やイベントをご紹介していきます。パリでアラブ人というと正直良いイメージはないのですが、それは思い違いであるかも知れないと、皆様にあらたな発見を提供できたらと思っております。
2 パリでフェズ刺繍
2008年1月14日更新
 パリで、モロッコはフェズ出身の女性アマルと友人になり、彼女の家で見せてもらったリバーシブルのフェズ刺繍に一目惚れ。裏と表、どちらから見てもおなじ模様に刺繍が施されているのです。
 彼女が結婚したときに母親から送られたというテーブルクロス、ベットカバー、枕カバーなのセットはとてもすばらしいものでした。(写真下) 実はこれ、彼女がお腹の中にいるときから刺しはじめられ、少しずつ続けられたものだそうです。あふれるような愛情が感じられ、ため息の出る美しさです。
 アマルも、母親と同じようにフェズ刺繍を刺すと言うので、チュニジアで自宅用に買って来た綿のベットカバーに、フェズ刺繍をさしてもらいました。(写真右)
 下絵は書かず、布の織り目のマスを数えながら刺してゆくのだそうです。裏表同じ模様に仕上がるのは、このマスの数え方と刺す順路にあるのだそう。
 彼女が私のために刺してくれたフェズ刺繍は、さらりとした手織りの綿の布ととてもよく調和し、私は大満足です。
 せっかくだから、日本の皆様にも見てもらおうと思って、2007年11月に開催した「さらは」の展示販売会のときに、このクッションを2点、会場内のソファの上にポン、ポン、と置いておきました。
 売り物ではなかったのですが、多くのお客様から、購入したいという申し出を受けまして、これらを手放すことはできなかったので、商品化を考えて見ますね、とお答えしたのでした。
やはり、心のこもった手仕事というのは、人の心を捉えるものなのだなぁと、強く感じた出来事でした。
 さて、その後パリに戻り、アマルの第1子ともご対面。(写真右 おかしな顔をさらけ出しているのは私です) 彼女も、彼女の母親がそうしたように、自分の娘にと、小さな子供用ベットのシーツや枕カバーに、シックな茶色の糸にピンクのポイントをいれた、素敵なフェズ刺繍を施していました。
 フェズの女性はみんな、まずは自分の娘のために刺繍をさすのですって。
 アマルに相談に乗ってもらって、「さらは」でフェズ刺繍を扱えないかということを、いろいろ考える日々が続きました。
 そんなに高い値段設定にはできないので、(したくないので)モロッコで売られているものを買い付けるか、モロッコで直接女性たちに仕事を頼むかしたい、というのが私の考えでした。
 そこで参考にと、フェズでお土産として売られているテーブルクロスやナプキンなどを取り寄せたのですが、くっきりはっきりとした原色系の色がまずどれも気に入らず、生地の感じも気に入らず、値段は魅力的ではあったのですが、お土産用のものをそのまま買い付ける案は却下。
 やっぱり、家庭的な温かみのあるオリジナル商品を作ろうと、方向が決まりました。
刺し子さんたちは、アマルの母親と、その友人たちにお願いできないかと、彼女たちがより良い生活を送れるような、フェア・トレード価格を提案しました。
 (安く売られているおみやげ物、その裏には、ものすごく安い値段で刺繍を刺す、彼女たちがいるのです。)
 でも、色指定や布指定、仕上がりにはこちらも妥協できないこと、これらをアマルと、延々と話しました。
 彼女のアドバイス通り、布と糸は、多少高くついてもパリで購入して送ったほうが良いのではないか。特に糸は、私の求める淡い感じのものを、モロッコの女性はあまり好まないし、刺繍を刺しづらいので、(布地にはっきりと映える糸で刺したほうが、楽なのだそうです)他の色で刺されてしまう可能性がある、刺繍の腕は確かだけれども、そういうところはけっこういい加減だよ、とのこと。
 この意見には(この色もこの色も、おんなじよーと言うおおらかな北アフリカの女性たちが目に浮かび)ククッ、と笑ってしまいそうになりましたが、アマルも同じモロッコ人なのに、随分客観的に見れているのね、と感心。
 実際に、アマルにサンプルとして刺してもらい、(写真左) 色、図柄なども決めました。2色、または3色のパステルカラーを使って刺す、フェズ刺繍のなかでもポピュラーな図柄。
そしてもちろん、パリにいるアマルにも、「さらは」の刺繍職人として、仕事を頼むつもりです。そう、それとアマルには、モロッコにも飛んでもらわなくてはなりません。
パリからフェズまで速達で荷物を送ったら、1ヶ月半かかったというのです。刺繍糸と布、彼女に持っていってもらった方が良さそうです。あっ、私も一緒に行こうかな。
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